高級車を知り尽くした老舗ディーラーが中国車の品質を認めた
高級車を知り尽くした老舗が差し出した一枚の鏡――環境時代に反逆する日本の危うさ!
すでに2024年ポルシェを扱うディーラーがBYDのディーラーを務めています。
新たにセレブリティーの顧客満足度がとてつもなく高いヤナセがBYDを扱う。この一文に、日本のネットはざわつきました。驚き、困惑、そして一部では拒否反応。けれど静かに考えると、これは“事件”というより、“現実確認”に近い出来事なのかもしれません。
ヤナセは110年の歴史を持つ高級輸入車販売の老舗です。メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、フェラーリ。日本の自動車好きにとっては、ほぼ「信用の単位」として機能してきた名前でしょう。そのヤナセが、100%出資会社を通じてBYDを正規ディーラーとして扱う。この事実は、「中国EVが正しいかどうか」という議論以前に、ヤナセが“売れる”“任せられる”と判断したという一点を突きつけてきます。
思い出されるのは、中東の砂漠で見た不思議な光景です。非公式中古車市場に並ぶ日本車、そのなかで特別扱いされていたのが、ヤナセのステッカーが貼られたベンツやシボレーでした。「これは世界最高品質だ」。そう言われたとき、ヤナセという名前が日本国内だけでなく、世界で信頼の記号になっていることを実感しました。
私もかつては自動車オタクでしたから色々なメーカーのディーラーとお付き合いをした事が有りますが、ヤナセが圧倒的に満足度が高かったです。ヤナセを100点とするなら他の外車メーカーは50点、悲しいかな日本の大企業メーカーの満足度は10点程度です。日本での多くのディーラーは親会社を持っていますから、親会社の企業風土がそのまま出ます。
そのヤナセが、環境時代の新しい主語としてBYDを選んだ。これは中国への賛美でも、日本車への否定でもありません。変化を拒まない高級車を知り尽くした老舗の現実主義です。
一方で、日本の大メーカーはどうでしょう。環境時代が来た、来たと言われて十数年。「まだインフラが」「まだ需要が」「まだ技術が」と言い続け、「エンジン車は不滅です」の大キャンペーンをやる始末。その“まだ”の間に世界は動きました。気づけば、EVは実験ではなく商品になり、価格と性能で普通に比較される存在になっています。そしてさらなる激安高品質化は進み、やがてAIロボタクシー等でインフラ化する事も間違いない近未来です。
それでも日本社会は、なぜか危機感よりも現状継続の見かけの安心を選びます。「日本は遅れていない」「日本のやり方が正しい」。この言葉は心地よい。けれど同時に、問題を先送りするための魔法の呪文でもあります。少しの不合理、少しの矛盾、少しの劣化に慣れていく。悪に慣れる速度だけが、世界最速になってしまったようにも見えます。
ヤナセの販売現場は象徴的です。誰にでもすぐ売らない。説明員が様子を見て、頃合いを見てセールスマンを呼ぶ。効率は悪いかもしれない。でも、顧客とブランドを同時に守る仕組みです。値崩れさせず、信頼を切り売りしない。だからこそ、その看板は世界で通用する。
BYDは、そこに乗っただけです。高級車を熟知するヤナセは、環境時代において「EVはもう特別な存在ではない」と判断した。その冷静さこそが、日本社会にとって一番耳の痛い部分でしょう。
本当に危険なのは、中国EVが日本に入ってくることではありません。環境時代に背を向けたまま、問題の先送りに慣れ、変化を拒むことを正当化してしまう私たち自身です。
老舗が差し出したのは、BYDのカタログではありません。それは、日本社会が見たくなかった“現在地”を映す一枚の鏡なのかもしれません。
この鏡から目を逸らし続ける国でいるには、これからの時代は、少し危険すぎるのですね!。日本を真に愛する者として日本の近未来の劣後が心配でなりません。ふぅ〜〜〜