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AIバブル

AIバブルの行方――5京円の借金と100兆ニューロンの夢のはざまで

世界の借金総額がついに5京円を超えた。金利の上昇とインフレの再燃が世界中を揺らす中で、株式市場だけはなぜか晴れ渡った空のように高騰を続けている。バフェット指数(株式時価総額÷GDP)は200を突破し、GAFAM(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン・マイクロソフト)5社だけでアメリカ株の過半の時価総額を占めるという異常事態。世界が「AI」という名の夢を追いかけ、資本主義のアクセルを全開にして走っている。

かつてのドットコム・バブルが「ネットで世界が変わる」と囁かれたように、いまは「AIが人類を超える」と言われている。確かにAIは人間の脳の1000億個のニューロンを超える、100兆個分の仮想知能を持つとさえ言われる。しかし、その夢を動かす燃料は、限界まで膨らんだ債務とマネーである。

国際通貨基金(IMF)や英イングランド銀行、米ゴールドマン・サックスは口をそろえる。AI関連株のバリュエーション(株価の割高さ)は、2000年のドットコム崩壊以来の水準に達していると。だがテック業界の人々は楽観的だ。「これは悪いバブルではない」「これは未来をつくる投資だ」と信じている。米グーグル元CEOのエリック・シュミット氏は「バブルは素晴らしい。AIは過小評価されている」と断言し、「人類の難題を解く企業の価値は歴史上最大になる」と胸を張る。

だがその裏で、現実は静かにきしみ始めている。米オープンAIは1兆2800億円の資金を投じながら、5000億ドルの企業価値が正当かと問われれば、誰も明確に答えられない。パランティア社のPER(株価収益率)は200倍超。もはや「未来への宝くじ」と化した市場で、AIの名を冠するだけで資金が流れ込む。

さらに厄介なのは、AIバブルの構造的な脆さだ。AI用半導体――たとえばエヌビディアのGPU――は寿命がわずか3年。技術の進化が早すぎて、3年後には陳腐化する。つまりAI企業は、数年で投資を回収しなければ資産が塵と化す。この「ドッグイヤー経済」では、少しの景気後退や需要減退で企業体力がもたない。もし金利上昇が続き、投資資金の流れが止まれば、AIブームは一瞬で泡と消える危険すらある。

市場の一部では、すでにその兆しが見える。AI関連の電力・通信インフラ投資は急増し、データセンター建設ラッシュが続くが、回収の見通しは甘い。AIコンピューティングに転換したビットコイン採掘企業は債務依存に陥り、資金繰りが悪化している。過剰投資の末に崩壊した90年代の通信バブルと、どこか似ている。

それでも人は、夢を手放さない。AIが「人間を超える」と聞くと、危険よりも希望のほうに心が動く。科学者スティーブン・ウルフラム氏は「AIバブルは明らかだ」としながらも、「AIの膨大な計算能力が科学を変革する」と信じている。人類が1000億個のニューロンで宇宙を理解してきたのなら、100兆個の人工ニューロンが見せる世界は、どれほどの驚きだろう。

結局のところ、いまのAIブームは「過大評価」と「過小評価」が同時に存在する珍しい現象だ。資本の論理から見れば危険すぎるが、文明の論理から見れば避けて通れない。問題は、誰がその代償を払うのかということだ。

この5京円の債務で支えられたAIの夢は、もはや止めることもできない。だが、その行き先が「新しい繁栄」なのか、「壮大な自己幻想」なのかは、AIではなく、私たち人間自身の判断力にかかっている。バブルとは、信じる力が作る幻影である。そして今、私たちはその幻影の中で、誰もが少しずつ、AIという名の夢に酔っている。

歴史は100%例外なく語って居る!弾けぬバブルなど歴史上存在していない!問題は何時弾けて、何年困難が続くのか?である。バブル成長過程の時間が長ければ長い程、弾けた後の被害は比例して深刻である事は確実ですね!AIバブルの成長は過去最長記録となりそうですね!

お互いに弾けた事をイメージしてしっかり準備をしたいモノですね!