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歴史上の天才がほぼもれなく落ちる落とし穴

イーロン・マスクという稀代の天才が、今まさにその才能の負の側面(全能感の落とし穴)に直面しているようです。彼の強烈な自信と全能感が、多くの人々の反発を招いてしまいました。確かに、彼が生み出した革新的な製品には大きな価値がありました。しかし、その価値がある間は多少横柄な態度でも人々は受け入れていましたが、今や状況が変わりつつあります。

特に、テスラの電気自動車(BEV)のハードウェア面では、中国のBYDをはじめとする競争相手に押され始めています。ハード性能では完全に負けています。さらに、今後はメルセデス・ベンツなどの欧州メーカーも追いつく可能性が高いと言われています。AIソフトウェア面でも、テスラの自動運転技術「FSD(Full Self-Driving)」の優位性が揺らいでいます。最新のAI技術であるディープシーク(DeepSeek)のような蒸留技術の発展や、オープンソース化の流れによって、テスラが持つ将来的なアドバンテージが薄れつつあるのです。

時代の変化は驚くほど早く進んでいます。現在、FSDは約120万円で提供されていますが、BYDの新しい自動運転システム「God's Eye」は166万円程度のクルマから全車種無料で利用できます。たとえ性能がFSDより少し劣るとしても、多くの人々が無料で利用できる「God's Eye」を選ぶのは当然のことでしょう。

仮に1年後、FSDの最新バージョン14がレベル4の自動運転を実現し、価格が120万円で提供される一方、「God's Eye」がレベル3の自動運転を無料で提供していたとしたら、人々がどちらを選ぶかは明白です。圧倒的な価格差と「God's Eye」の技術の進歩を考えると、より多くの人が無料の選択肢を求めるのは避けられません。

純粋(自由気まま)な天才として知られるイーロン・マスクですが、彼が政治の世界で求められるような事前根回しや共感的な調整力や駆け引きに長けているわけではありません。ビジネスの世界では、その独自のカリスマ性と先見の明によって成功を収めてきましたが、政治の世界で求められる「忖度」や「外交的な駆け引き」には不慣れなようです。

「天才の自分がすべてを仕切る」という考え方は、時流に乗ったビジネスの世界では通用したかもしれませんが、今はそれが限界に達しつつあるのかもしれません。最近では、アメリカの元大統領ドナルド・トランプやその側近(能力の疑わしい忖度茶坊主)たちとの関係にも軋轢が生じており、その影響が表面化し始めています。

テスラの販売状況を見ても、その勢いが衰えつつあることが明らかです。2025年3月5日にドイツ連邦自動車庁(KBA)が発表した統計によると、テスラの2025年2月のドイツでの販売台数は前年同月比で▼76%減少し、わずか1,429台となりました。この減少率は、1月の▼60%減からさらに拡大しています。一方で、ドイツ全体のEV販売台数は30.8%増加し、35,949台に達しました。

欧州の他の国々でも、テスラの販売台数は大幅に減少しています。オランダで▼24%減、スウェーデンで▼42%減、ノルウェーとデンマークで▼45%減、フランスとイタリアでは▼55%減、スペインで▼10%減、ポルトガルで▼53%減と、ほぼ全域で落ち込んでいます。欧州以外では、オーストラリアで▼66%減、中国でのテスラ製車両の販売台数は▼49%減となりました。

その一方で、英国では2025年2月のテスラの販売台数が21%増加しましたが、EV市場全体の成長率42%には及びませんでした。特に、イーロン・マスク氏が欧州の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」などを支持していることが、欧州でのテスラ販売に影響を与えている可能性が指摘されています。実際、2025年1月の欧州全体でのテスラの販売台数は、前年同期比で▼45%減少しています。

私もイーロンマスクの第一原理思考はとてもリスペクトしていますが・・強烈な”我”(ガ)には辟易としています。例えば彼はかたくなにBEVにV2Hを付けたがりません。地震等の自然災害が多発する日本ではこのV2Hの有る無しでBEVの価値は2倍以上も違います。たった数万円で可能なのにオプションすらなっていません。右ハンドル国では安全に必須な右ハンドル車も儲からないと云う理由ダケで廃止です。つまり、客は俺に従え!と云う価値観なのでしょう。

新車の納車もお店のフロントで鍵を受け取り一人で傷等を点検して勝手に乗って帰れであり、充電すら十分にしてありません。テスラ車が何処にも無い価値の時代ならともかく、今はテスラも普通の少し上程度になっている事を天才ともあろう人間が理解出来ていないのですね!

こうした状況が続くと、かつてのスティーブ・ジョブズのように、一度は成功を収めながらも強烈な自我を押し通し会社の舵取りを誤り、失脚する可能性が出てきます。スペースXにおいても、スターシップやクルードラゴンの2度連続の失敗が続いており、マスク氏は今、新たな試練の時を迎えているのかもしれません。彼がこの苦境をどう乗り越えていくのか、その未来に注目が集まっています。

歴史上の天才の多くが落ちた落とし穴から如何に這い上がるか?いつ這い上がるか?見ものですね!