« 商業主義的医者(医者の約95%)に殺される可能性が高い! | メイン

気付き!

―「マルチパスウェー」と唱えるトヨトミ教と、先送り中毒の列島で―

この国には昔から「どっちか1つを選ぶ」という文化があまりない。右か左か、白か黒か──そんな二択は
日本人にとってはストレスで、できれば“全部グレーでお願いしたい”のが本音だ。政治も経済も家計も、そして自動車産業も、この精神構造から逃れられない。だからこそ、世界の自動車メーカー・トヨトミが掲げる「マルチパスウェー」という魔法の呪文は、この国に驚くほど馴染んでしまった。

マルチパスウェー──聞こえは立派だが、実態は“方向音痴の地図アプリ”に近い。

 HVもICEもBEVも水素も合成燃料も、全部行きます。
 ローマにも行くし、江戸にも行くし、ついでに火星にも行く感じである。
 しまいには道に迷う事こそが、ドライブの醍醐味だ!なんて言い出しそうである。
 これを聞いた世界の脱炭素専門家たちは、おそらくこうつぶやいているだろう。

 「いや、せめて目的地を決めてから出発してくれ」と。

2021年9月から言い始めたマルチパスウェー戦略は4年後の今も全く成果は上げられずにHV一本足で現状維持中である。

環境NGOがトヨトミのBEV戦略をパリ協定の1.5℃目標に照らして分析したところ、「はい、大幅に不合格です」という、まるで再テスト確定の通知表が届いた。実際、2030年に350万台のBEVを生産するというトヨトミの本人だけが信じている“意識高い系”計画ですら、地球が求める排出削減には届かない。その道程プロセスをトヨトミの技術力が無い(売れない)故に下方修正しまくりである。

2030年に350万台のBEVを生産する年次計画もドンドン半減の様な下方修正を発表後に直ぐにさらに下方修正を繰り返している。半分の台数になったら? もう地球から「留年」と言われるレベルだ。

だが日本社会は、この結果を聞いても驚かない。むしろ「まあ、仕方ないよね」で終わる。奈良時代から続く“先送り文化”の前では、気候危機ですらただの書類みたいな扱いだ。もはや先送りは、中毒症状と言っていい。日本列島を診断したら、確実に「問題先送り依存症・ステージ4B」と診断される。

そして何より怖いのは、こうした状況を「まあ、仕方ないよね」と静かに飲み込む国民の空気だ。もはや問題先送りは“文化遺産”だ。

・財政赤字も先送り
・少子化も先送り
・インフラ老朽化も先送り
・AI化も先送り
・産業転換も先送り

そしてついには、資源らしい資源の全く無い日本が世界で一番被害を受ける事が確実な地球温暖化まで先送りにするつもりなのだろうか。日本人の先送り力は、いっそノーベル賞ものだ。

さらに困ったことに、日本では“BEVは本当に環境にいいのか論争”が毎月リセットされる。科学者が何回説明しても、テレビのコメンテーターが1日で上書きしてしまう。AIでもここまで初期化はしない。日本人は全員、脳内に「都合のいい結論だけ保存するキャッシュ」が標準装備されているのだろう。

こうなると、日本人の悪癖である「現状肯定の呪文」が発動する。

 ──まあ、ハイブリッドは優秀だし
 ──エンジンは文化だし
 ──BEVはまだ早いし、不便だし
 ──世界もどうせ迷走しているし

こんな“自己慰撫ワード”が、テレビでもSNSでも無限生成される。日本人はAIより早く、言い訳を自動生成できる民族かもしれない。

実際には、BEVのCO2排出量はガソリン車の3分の1。それも国際的に確立された数字だ。しかし、この国では3分の1という数字がなぜか「ほぼ同じ」と翻訳されるどころかBEV製造時にはCo2を多く出すからHVが最適なんて事まで言い出している。数学の敗北である。

一方、トヨトミは水素と合成燃料にも全力投球している。「技術が確立していない」という最重要注意書きは、都合よく読まれない。未来の宝くじを握りしめて、老後資金を全額突っ込むタイプの老人ギャンブルにも似ている。

地球の火災が拡大しているのに、「未来の消火器がそのうち完成するから大丈夫」と言っているようなものだ。

GHGプロトコルが示すように、排出の8〜9割は“車の使用段階”だ。つまり、エンジン車を売り続けるかぎり、どれだけ緑色のスローガンを掲げても実態は変わらない。それなのに、この国では帳尻が合わない状態に慣れすぎてしまい、誰も「おかしい」と言わない。年金制度と同じである。矛盾が積み上がっても、誰も責任を取らない。

注:GHGプロトコルとは、企業が温室効果ガス排出量を算定・報告するための国際的な基準です。この基準は、企業が自社の排出量を正確に把握し、環境への影響を評価するための指針として広く採用されています。

ここまで来ると、トヨトミがマルチパスウェーで迷走しているのではなく、日本社会そのものが迷子なのだ。方向音痴の国が方向音痴の企業を讃え、迷子同士で慰め合っている構図とも言える。

そして何より恐ろしいのは、日本では“悪慣れ”が美徳になることだ。
・先送りに慣れ
・問題に慣れ
・不合理に慣れ
・責任の所在が曖昧な状態に慣れ

気がつけば、温暖化まで「まあ、そのうち何とかなる」で片付けてしまいそうだ。

だが、そろそろその“慣れ”が致命傷になる。世界は産業を入れ替えながら猛スピードで走っている。私たちだけが昭和の減速車線を延々と走っていたら、景色が変わらないどころか、道路そのものが突如崩落する。

トヨトミの未来を語る前に、日本という国が未来を選ぶ覚悟を持てるのかが問われている。地球は、マルチパスウェーという名の散歩道にはもう付き合ってくれない。

もう私はクルマそのものに殆ど乗らない!・・・それは、車以外の選択肢を第一優先にするダケで済む事である。クルマなど無くても全く困らない世の中にすでになって居る。

気付きとは・・・本当に大切なモノですね!貴方は、最近何に気付きましたか???