自動運転がコスト増無く標準装備され始める!BYDの覚悟
A. 近年、数年に渡り私は「クルマ」から「ビークル」への大きな変化についてお伝えしてきました。そして、旧来の経済モデルを持つ企業(オールドエコノミー)と、新しい経済モデルを持つ企業(ニューエコノミー)の勝敗はすでに決していると、3年以上前から警鐘を鳴らしてきました。
B. 日本の自動車産業は、長年にわたり単一の成功モデルに依存してきました。しかし、そのビジネスモデルは、下請け企業に依存した多層構造による搾取的な構造を変えようともせず、変化の波に乗ることができていません。日産やホンダの経営統合のゴタゴタ問題や、掛け声だけの方向性を見失った「マルチパスウェー」(実質ハイブリッド1本足打法)戦略など、日本の大企業は時代の流れに逆らい続けているように見えます。
C. 古い昭和の企業文化や腐敗風土やイノベーションの起きにくい制度の問題も深刻です。新しいアイデアが育ちにくい官僚的な組織文化のもとでは、革新は進みにくくなります。村社会的な閉鎖性や、下請け搾取のビジネスモデルの弊害が明らかになっている今、従来の戦略では競争に勝つことが難しくなっています。長年の「先送り」の結果、問題は積み重なり、限界点に達しています。今後、日本社会は避けられない痛みを伴う変革の時期を迎えることになるでしょう。
D. 2025年2月10日、BYDが発表した衝撃的なニュースが世界のEV市場を揺るがしました。
1,BYDの最新動向と販売実績
1-1. BYDは、新しい自動運転システム「God’s Eye」を発表しました。特に注目すべきは、最も安価な「シーガル」のエントリーグレード(145万円)を除く、166万円以上のBYDのすべてのモデルに自動運転システムを標準装備しながら、値上げを行わないという決断です。
1-2. 2025年1月のグローバル販売実績は30万台を超え、前年比49.2%の成長を記録。他メーカーが補助金の終了により販売が落ち込む中、BYDは拡大を続けています。2024年の実績365万台に対し、2025年は年間500万台を目標としています。
1-3. 海外市場でも成長が顕著で、1月の海外販売台数は6.6万台と過去最高を記録。インドネシア、トルコ、ブラジルなど新興市場への進出を加速させ、専用輸送船や工場建設によりコスト削減と安定供給を実現しています。
2,BYDの自動運転戦略:「God’s Eye」BYDの全車種に標準搭載(値上げ無し)
2-1. God’s Eye C(旧Dパイロット100)
演算能力128 TOPS(1秒当たり128兆回の演算が可能)、12のカメラ、5つのレーダー、12の超音波センサー搭載(合計29のセンサー)。高速道路での自動運転(ハイウェイNOA)、駐車支援機能、監視カメラ機能を標準装備
2-2. God’s Eye B(旧Dパイロット300)
演算能力254 TOPS(兆回/秒)(NVIDIA DRIVE OrinX採用)God’s Eye Cの(29のセンサー)に追加のLiDAR搭載。市街地での自動運転(City NOA)上級モデル(Sea Lion 07、Tangなど)に標準搭載
2-3. God’s Eye A(旧Dパイロット600)
演算能力508 TOPS(兆回/秒)。God’s Eye C(29のセンサー)に+3基のLiDARを搭載し、将来的にNVIDIA Thor(1,000 TOPS)にアップグレード予定。ハイエンドモデル「仰望(ヤンワン)」シリーズに搭載
2-4. God’s Eye S という、レベル4〜5相当の高度な自動運転システムも近いうちに発表予定です。
3,BYDの新型バッテリーと充電インフラ
3-1. BYDは2025年3月に、1000V対応の次世代EVプラットフォームを発表予定で、これに新型LFPブレードバッテリーを搭載。最大1000kW級の超急速充電器を開発し、5分間の充電で300km走行が可能(1秒充電で1q走行回復)になります。ガソリン車のガソリン補給以上の短時間充電が可能。
3-2. また、2025年までに中国全土に1000kW級(日本の充電設備の10〜20倍の性能)の充電ステーションをBYDは自前で3,000箇所設置し、従来のコストを30%削減する計画です。日本メーカーの約60〜100倍のスピード感
4,EV市場の展望と日本メーカーへの影響
4-1. BYDは価格と性能の両面で圧倒的な競争力を持ち、トヨタ・ホンダ・日産、フォルクスワーゲン、BBA(ベンツ・BMW・アウディ)などのオールドエコノミーメーカーは対応を迫られています。
4-2. BYDが自動運転を標準装備しながらも値上げを行わない理由は、新興メーカー(ファーウェイ、シャオミ、バイドゥ、NIOなど)のBYDよりコストパフォーマンスに勝る新興企業に対抗するためです。これらの新興企業の生産設備増大が2025年には数倍に加速する年となる事も確実な事ですね。
5,これからの移動の姿
5-1. 「クルマ」から「ビークル」へ、そして、AI自動運転の時代へと移行し、従来のガソリン車よりも安価なモビリティが普及する時代が到来しました。維持費は大幅に低下し、燃費(電費)も従来の1/3以下。AIロボタクシーの導入により、稼働率は3〜6倍に向上し、移動コストも激減します。
5-2. 通信が世界中で基本無料になったように、移動も無料化(企業のサービス提供)される時代が来る可能性もあります。既に社会は、決断ダケすれば「移動しなくても済む」方向へシフトしており、2025年はその変革が劇的に加速する年となるでしょう。
F. 時代の変化は待ってくれません。これからの未来に適応するために、真の学びを深め、行動をアップデートしていきましょう。