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知らないと損する? 2027年から始まる未来の家「GX ZEH」、5つの新常識

家づくりに関心のある方なら、「ZEH」(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。 これは、使うエネルギーと創るエネルギーの収支をゼロ以下にすることを目指す住宅の基準です。 しかし、このZEHが今、大きな進化を遂げようとしています。

この変化の背景には、「2050年に住宅のストック平均でZEH基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す」という、 国の「第6次エネルギー基本計画」で示された大きな目標があります。 この目標達成を牽引するため、住宅の省エネ基準がより高いレベルへと引き上げられるのです。

そして、2027年4月以降に適用されるこの新しい基準には、「GX ZEH」という新たな名前が与えられました。 この記事では、私たちの未来の家を定義する、最も重要で驚くべき5つの新常識を分かりやすく解説します。



1. 新常識その①:「ZEH」から「GX ZEH」へ。名前だけじゃない、重大な意味

まず最も大きな変化は、その名称です。新しい基準は、戸建て住宅向けが「GX ZEH」(ジーエックス ゼッチ)と呼ばれます。

この「GX」は「Green Transformation(グリーン・トランスフォーメーション)」の略。 これは単なる名称変更ではなく、より野心的な未来への一歩を象徴しています。 また、この名称変更は戦略的な一手でもあります。政府は2030年までに現行のZEH基準をすべての新築住宅の最低基準として 義務化する方針を掲げており、この「GX ZEH」は、市場をさらに先へと積極的に牽引する新たなゴールドスタンダードとして設計されているのです。

公式の定義からも、その目指す姿が明確に示されています。
GX ZEH シリーズとは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、 室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、 年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」とする。

2.新常識その②:太陽光だけじゃない。「蓄電池」がほぼ必須に
今回の変更で最もインパクトが大きいものの一つが、蓄電池の扱いです。 新しい基準では、戸建て住宅のGX ZEH+、GX ZEH、Nearly GX ZEHのカテゴリにおいて、「定置用蓄電池」の設置が必須要件となりました。

なぜ、蓄電池が必須になったのでしょうか。 その背景には、「家庭用太陽光発電の自家消費率は30%程度で推移している」という現状があります。 つまり、太陽光で発電した電力の約7割は、自家消費されずに電力網に売電されているのです。

蓄電池の設置を義務化することは、この自家消費率を高め、家庭の「エネルギー自給率の向上」を図るための直接的な戦略です。 これは、住宅所有者が単に余剰電力を売る生産者から、自前の発電所を管理するマネージャーへと役割を変える、 戦略的な転換点を意味します。自らが生み出したクリーンエネルギーを、まず第一に自分の利益のために確実に活用する時代の幕開けです。

3. 新常識その③:家の”鎧”がレベルアップ。断熱性能は「等級6」が当たり前に
新しいGX ZEH基準では、家の快適性と省エネ性能の根幹をなす「外皮性能」の要件が大幅に引き上げられました。 具体的には、最上位のGX ZEH+GX ZEH Orientedに至るまで、すべてのカテゴリで「断熱等性能等級6」を満たすことが必須となります。

これが暮らしに何をもたらすかというと、冬は暖かく、夏は涼しい、非常に快適な室内環境が実現します。 外気の影響を受けにくくなるため、冷暖房の使用を大幅に削減でき、エネルギー消費を根本から抑えることが可能になります。

これは、高性能な設備に頼る前に、まず建物の器(うつわ)自体の性能を最大限に高めるという「外皮先行」の思想を反映したものです。 国の資料にも「竣工後に抜本的な改善が困難である躯体や外皮については、新築時に高性能なモノが導入されることが必要である」と明記されている通り、 後から変更するのが難しい構造部分の性能を最初から確保することが極めて重要だと考えられているのです。

4. 新常識その④:家の「頭脳」も標準装備へ。HEMSでエネルギーを賢く管理
高断熱な躯体とエネルギーを創り・蓄える設備に加え、それらを賢く管理する「頭脳」の搭載も標準となります。 新しいGX ZEHの戸建て住宅では、「高度エネルギーマネジメント」システム、具体的にはHEMS(住宅エネルギー管理システム)の導入が必須要件となりました。

HEMSの役割は、単にエネルギー使用量をモニターするだけではありません。新しい基準では、HEMSが「冷暖房設備、給湯設備等を制御可能」であることが求められます。 これにより、エネルギーの消費を自動で最適化できるようになります。

さらにこの要件は、必須化された蓄電池と密接に連携しています。HEMSは「蓄電池の充電量・放電量を制御できること」も条件となっており (蓄電池の設置が必須ではないGX ZEH Orientedを除く)、発電量や電力使用状況に応じて、電気を蓄える、使うといった判断を自動で行うシステムを構築します。 この統合こそが鍵です。高性能な「鎧」(断熱材)、自家用の「発電所」(太陽光)、そして「バッテリー」(蓄電池)が、 もはや個別の部品ではなく、HEMSによって管理され、快適性とコスト効率を最大化する一つの知的なエコシステムとなるのです。

5. 新常識その⑤:未来のクルマ社会への備え。「EV充電設備」の検討を推奨
最後の新常識は、私たちの移動手段との連携です。新しい基準では、EV(電気自動車)充電設備の設置は義務ではありませんが、「推奨事項」として明確に位置づけられました。 具体的には、駐車スペースを有するすべての戸建て住宅において、建築士が建築主に対し、設計段階で「EV充電設備/V2H充電設備」の導入について必要な情報を提供し、 検討を促すことが求められます。

これは、将来のEV普及を見据えた非常に先進的な措置です。新築時に充電インフラの準備をしておくことで、 将来EVを所有する際の障壁を取り除き、家を「未来に対応(フューチャープルーフ)」させます。 これは、私たちの家と車が一体となってエネルギーを管理する未来が、すぐそこまで来ていることを示唆しています。

現行のZEHと「GX ZEH」の比較 現行のZEHと「GX ZEH」の比較
担当者

消費する家から「自給自足するエネルギー拠点」へ
GX ZEH基準は、単なる省エネ基準のアップデートではありません。高い断熱性能をベースとし、 蓄電池とエネルギーマネジメントシステムを必須とすることで、家づくりの哲学そのものを変えようとしています。

これからの家は、単にエネルギーを消費する場所から、自らエネルギーを創り、蓄え、賢く使う「インテリジェントなエネルギー拠点」へと進化していくのです。 家がエネルギーを自給し、車と連携するのが当たり前になったとき、私たちの暮らしは次にどのように進化するのでしょうか?